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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part10 最後の大決戦、果たして奇跡は起こり得るか?(後)その4(2005.11.18)

 午前九時を回ったところ、最中幹事長指令のもといよいよ機動隊の一斉突入が開始された。機動隊はヘルメットに防御服、盾と警棒のフル装備。防衛警察隊もヘルメットに防御服、ただし盾と警棒はオプション――元警官や元自衛官は盾も警棒も装備するが、現役格闘家は素手で戦う連中の方が多い。
 さて攻防はどうかというと――機動隊、防衛警察隊入り乱れて大乱戦。さすがに現役格闘家達は強かった。振り下ろされた警棒をむんずと掴み、警棒もろともその機動隊を片手で放り投げるプロレスラー。機動隊の振り上げた警棒を蹴り一閃で吹っ飛ばし、盾に正拳突き一発、一撃で盾もろとも機動隊をぶっ飛ばす空手家。機動隊の間を掻い潜りパンチ一閃、次々と相手をノックアウトしていく、現役プロボクサー。機動隊の攻撃を児戯のようにあしらう棒術の使い手などなど――。そして攻防一時間もせぬうち、二万人の防衛警察隊に五万人の機動隊は大劣勢となり、後退を余儀なくされていくのであった。

 テレビを見ている大多数の日本国民は大喜び、『一部の良心ネットワーク』に大声援を送る。次第に後退していく機動隊の姿を見て、「日本政府は『一部の良心ネットワーク』の要求を受け入れよ!」
 しかしこのまま黙っている政府ではなかった。作戦を変えた。後方五万人と前方五万の機動隊十万人を五人ずつのグループに分け、計二万グループを作り、防衛警察隊に五対一のマンツーマン作戦を展開したのである。「卑怯なり機動隊」と言ったのはプロレスラー中西獣太だが、別に試合ではないのだから、そう言う彼が間違っている。多勢に無勢、いくら格闘家が多いといっても五対一、しかも機動隊だって格闘技の訓練はしているはず。そんなこんなで、とうとう防衛警察隊の一角が崩れ始め、機動隊の一部が国会議事堂内に侵入し始めた。
「防衛警察隊の一角が突破されました!このままでは我々まで強制排除されます!」
「どうしますか、森田さん?」桜庭、森田に尋ねる。
「取り敢えず国民に知らせましょう」
「国民にはどう伝えるんです?」
「『一部の良心ネットワーク』は劣勢である、できれば応援を……いや、それじゃ駄目だ。国民がこっちへやって来ては大惨事になる。俺達の思いを伝えるしかない。ここで俺達は捕獲され逮捕されるだろう。しかし『一部の良心ネットワーク』が滅びた訳ではない。有志が立ちあがり第二、第三の『一部の良心ネットワーク』を作ってくれと」
桜庭、にこっと微笑んで
「さすがは前総理、きっとそう言うだろうと思ってました」
そして桜庭、侵入しようとしてくる機動隊と防衛警察隊の攻防を撮影しているカメラクルーに向かって大声で叫ぶ――
「テレビカメラを回して!急いで!お願い!」

森田、大混乱に陥ろうとしている国会議事堂内でテレビカメラに向かう。
「日本国民の皆さん。私達はおそらくこのまま捕獲され逮捕されるでしょう。しかしそれは 『一部の良心ネットワーク』の活動が一時的に中断されるだけであって、私達の信念、日本人としての尊厳が失われることではありません。たとえ今回の『一部の良心ネットワーク』の活動が失敗に終わろうとも、近い将来、このテレビを御覧頂いている国民の皆さんから、第二、第三の『一部の良心ネットワーク』が結成され、いずれは真の民主主義平和国家日本が誕生することを願って止みません!」
そう言っている尻から、議事堂内には次々と機動隊が侵入、『一部の良心ネットワーク』中枢部の約二百名、応援有志約八百名も抵抗するが、こちらはまったくの素人。あっと言う間に捕らえられ、押さえ付けられていく。
いよいよその手は桜庭、森田のところまで及ぼうとしたその矢先、どういう訳か、機動隊の連中が急に議事堂を、それも猛烈な勢いで、退出し始めた。一体何があったというのか?議事堂内の森田、桜庭ほか『一部の良心ネットワーク』中枢部、状況がまったく掴めない。そのうちテレビモニターが回され、ようやく何が起こっているのかを確認できた。
なんと、朝からをテレビで見ていた国民が、日本各地で政府撲滅運動を開始したのである。札幌で、仙台で、横浜で、名古屋で、大阪で、神戸で、博多で、鹿児島で、高松で、それこそ日本全土で、官舎や政府関連の建物を襲撃、占拠。全面的に『一部の良心ネットワーク』支持を打ち出した。東京都内に至っては正午まで政府の外出禁止令が布かれているにもかかわらず、約二百万人の人々が永田町周辺や日比谷公園当たりに詰め掛け、『一部の良心ネットワーク』と大書した幟を掲げ、「政府は『一部の良心ネットワーク』の要求を受け入れ、全退陣せよ!」と大合唱し、「政府はたったいま政権移譲せよ!」と訴えた。

国会議事堂の森田が叫んだ。
「まずい!絶対暴徒化する連中が出て来る!そうなれば自衛隊も出て来る。怪我人ぐらいじゃすまない!」

 自民党幹事長室の最中――
「やっぱりそうなるか!俺は自衛隊を出動させねばならんのか!」

以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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