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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part1 平成十×年、森田新総理誕生する。〜その1 (2005.8.18)

平成十×年の話――。森田金作は憂鬱だった。つい先日新総理に指名され、いよいよ明日は新総理就任の所信表明演説であるにもかかわらずだ。

森田は元来俳優であったが、自民党に乞われ政治家に転職。といっても自民党にその手腕を望まれた訳ではなく、単なる宣伝・イメージ作りのために起用されただけのこと。青春ドラマの主人公が当たり役となり、持ち前の性格の良さも手伝って、世間一般には非常に好感の持たれる役者であった。自民党にとってはプロレスラー大寝田厚のようにただのイメージキャラでいてもらえれば十分なのだが、ところが森田、如何せん大勘違いをする。自分は党に期待されているのだ、さもなければ、あんなに熱心に勧誘してくれる訳がないではないか。「政治家として素質がある」「この日本を救うのは君しかいない」と当時の自民党幹部連中は口を揃えて森田を持ち上げた。人がいい森田はすっかりその言葉を信じ、志を大にして政治家に転職した。が、悲しいかな、下手に政治に目覚めてしまったものだから、上層部の命令に断固反対すると、本人がまったく窺い知るところのない、秘書絡みのスキャンダルで冷や飯を食わされ、単なる議員数確保のための無派閥一議員として冷遇されるのである――。

その森田がいよいよ新総理に就任する。「いずれは総理となり国家の舵取りをする」と甘い夢を見た初当選の頃もあった。それが志適わずほんのつい最近まで無視されていた。ところがいきなり総理大臣に指名されるのである。総理就任といえば政治家を志す誰もが一度は見る夢。なのにワクワクすることも、興奮することもなく、ただ憂鬱であった。彼が指名されることになった大まかな経緯と憂鬱になる理由はこうである――。

日本はかつてない危機的状況を迎えていた。経済問題以外でも、有事法制、外国人犯罪、青少年による凶悪犯罪、児童虐待、弱者虐待、北朝鮮による日本人拉致、アメリカ・中国・韓国による内政干渉、役人・業者の癒着、官僚の天下り問題、子供の学力低下、規制緩和の遅々、人格・家庭・学校崩壊などなど・・・。

これだけ大きな社会問題を無数に抱えているにもかかわらず、政治家のやっていたことといえば、週刊誌に登場した与野党国会議員の日替わりスキャンダル追及であり、与党が野党のスキャンダルを暴けば野党も与党のスキャンダルを暴くといった泥仕合。政治に対する関心は、今度は誰が(スキャンダルで)上げられるかといった程度のワイドショー的なものでしかない。

そんな危機的状況で、国民の期待を一身に背負い、満を持して登場した小根澄純一郎は、大胆な行革を推進する旨を公約したものの、行革どころか自民・公明・保守の連立政権である与党間の調節をするのが精一杯で、新内閣発足時は九十パーセント以上もあった支持率が、その末期には十パーセントに満たないほど、国民をがっかりさせた罪作り総理大臣となり失脚する。

そしてその後を継いだのが、自民党最大派閥の領袖、元内閣総理大臣の橋本鬼太郎であった。元内閣総理大臣が再び現職に復帰するというのである。

さてその橋本鬼太郎、新総理に就任するときの公約に「最優先の不況対策、官僚の天下り前面禁止、天下りのために作られた財団・公社などの各機関を全廃止、官僚制度の改革、金権政治・派閥政治からの完全脱却」等を掲げるのだが、国民は、自分がやってきたことをすっかり棚に上げ我こそは日本の救世主であらんとする橋本鬼太郎に、呆れるやら大笑いするやら。

そんな折も折、評論家の蛸花隆が大論文『平成大研究―日本の失政』を刊行した。この『平成大研究―日本の失政』は、引退した政治家から現役の政治家まで、すべて実名(勿論民間人も)を列挙し、徹底的にその不正を暴く内容で、不正を追及されている国会議員は(全国会議員中)半数以上を占め、しかも党の中枢をなすものは、ほとんど名前が挙がっているという極めて辛辣な告発本である。

この本がベストセラーになるやいなや、大正デモクラシー以来の市民運動は盛り上がる。それでも政府はお得意の「十分検討します」を繰り返し、ノラリクラリ、ノラリクラリ。一部政治家および官僚連中、表向きは「お説ごもっとも」と平身低頭、国家の忠実なる下僕であることを宣言する。ところが、各市民運動を尻目に、実はとんでもない恐ろしい陰謀が、彼らを中核に企てられようとしていたのである。

以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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