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| Part2 大和、分離独立を宣言する〜その4 (2005.8.26) |
直吉老人はそう言うと、ステージ脇に置かれている大掲示板を運び出すよう、両隣に控えるマスクマンを促した。その大掲示板には『大和国家機構および初期入植者募集要項』とあり、直吉老人はそこに書かれている要綱をひとつひとつ解説し始めた。その要綱とは――
大和国家機構および初期入植者募集要項
第一項 大和は小笠原妾島を中心に、大和に賛同する有志近隣島からなる海洋国家である。国家の目的は、既に瀕死状態である隣国日本の、精神および文化を保存・再興することにある。※現在大和および有志近隣島に関して、隣国日本による独立妨害工作を避けるため、その所在位置および住民名は極秘である。
第二項 無事分離独立が達成されるまで、暫定政府を置き、その長を小笠原妾島住民、大室直吉とする。またその期間、一部の有志近隣島住人が大室直吉を補佐および警護する。
第三項 国家建設にあたり、暫定政府が用意している国家建設費はおよそ二千億ドルである。これは大室直吉個人口座にて、海外某金融機関にてプールされており、その一部は既に有志近隣島で国家建設のために使われている。
第三項を読み上げた時、広場にいる数百名がどよめいた。国家建設費が二千億ドル、ときの為替レートは一ドル百二十五円であるから、換算すると二十五兆円、これは日本にある個人資産の全総額千四百兆円の約二パーセント、平成十四年に統合された、みずほ銀行総資産の六分の一にあたる、とんでもない額であった。ここでマスコミ関係者から、直吉老人に公開質問が行われた。
「国家建設費の二千億ドルは日本円に換算するとおよそ二十五兆円になります。失礼を承知でお伺いしますが、とても御老人がそんな資産家あるいは企業家にはお見受け致し兼ねます。その資金の出所についてお聞かせ願えないでしょうか」
「もっともな質問じゃ。これはのう、実は半分が預かり金、半分が寄付なのじゃ。日本は現在借金漬けで首が回らなくなっておるが、個人は別じゃ。金持ちも腐るほどおるわい。その中の一部の粋な連中がのう、いや金持ちだけではないぞ、貧しい人々の中にも、儂を粋に思うてくれる連中が、大なり小なり儂に金を預けてくれておる。『国家建設に役立ててくれ』ということじゃ。儂はその金を運用し、ちゃんと利子を払うてやる。『返さんでもええ』と言うてくれる人にもちゃんと利子を払うてやる。中には利子を受け取らず、それをそのまま寄付してくれる人がいたり……。で、つもり積もったお金が二千億ドルなんじゃ。」
その場にいる聴衆全員からため息が漏れた。さらにマスコミ関係者の質問は続く。
「いくら利子を払うからといっても、個人にお金を預けるのには勇気がいります。よければどんな方々が御老人に出資しているのかお聞かせ願えないでしょうか」
「今は言えん。ある程度独立の目処が経ったところで、その件に関してはもう一度お答えしよう」
「『既に有志近隣島で国家建設のために使われている』とありますが、具体的にお答え頂けるでしょうか」
「その質問を待っておったわい。それではお見せしようかな」
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以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。
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