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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part2 大和、分離独立を宣言する〜その6 (2005.8.29)

「まだ俄かに信じがたいのですが、その大和には一体何人ぐらいの人が住んでいるんでしょうか」
「およそ三千人が住んでおる。総世帯数はざっと二千、老人数約五百、十八歳以下の子供数が五百、残りの二千が就労人口じゃ」
 三千人と聞いて、また聴衆がざわざわしだした。すこぶる驚いている者も多かったが、疑ってかかるものもいる。
「三千人といえば相当な人数です。その数が生活しているのですから、住宅や学校、会社や公共機関などの各施設を造るのに、かなり大掛かりなプロジェクトが必要だと思われます。そうなれば大和独立宣言以前に何らかの情報、たとえば『小笠原諸島に巨大都市造成中』などという噂話が流れても、当然おかしくないはずです。という訳で、その存在がいまいち信憑性に欠けるのです。実際にその有志近隣島を目の当たりにしない限り、信じる者は少ないのではないでしょうか。それと二千が就労人口であると仰いましたが、産業の中心は何なんでしょうか。まだ独立していない状態で重工業や大型製造業などの第二次産業は考えられないとして、また土地柄から考えても、漁業や農業を中心とした自給自足的な第一次産業が中心なのでしょうか。それとも就労人口の多くは日本本土へ出稼ぎといった形を取っているのでしょうか」
直吉老人、あごひげをしゃくり頷く。
「おお、いい質問じゃ。お答えしよう。この計画はのう、もう二十年ほど前から構想だけは練っておった。一番の問題は『どうやれば人々に気付かれずこの計画を実行していくか』じゃった。練りに練ってな。極秘中の極秘じゃ。幸い儂の熱烈な支援者は小笠原を通して全国に散らばっておる。マスコミにもどこにでもな。ちょっとでもそんな噂が立てば、簡単に揉み消しあるいは誤魔化しできるような対策は、予め講じておったわい。お蔭様でほとんどばれることなく事は進んだがの。今言えるのはここまでじゃ。これ以上は後日明らかになるであろう。それと勘違いされている方が多いと思うので、修正しておく。産業の中心は第二次産業じゃ。特にエネルギー資源の研究、超ハイテク製品の開発、大型船の建造などじゃ。これから造るのではないよ。もう既にやっておる。本土への出稼ぎなんて一人もおらんわい。もっとも本土から出稼ぎに来ている連中は多少いるがの」
一同「ええっ!何で?」と驚きを隠さない。どう考えてもおかしい。この小笠原でなぜそんなことが、しかも日本中に知れ渡ることなく行われているなんて想像できない。マスコミの一人が、今度は直吉老人ではなく、両脇にいるマスクマンに問い掛けた。
「それでは前田さんにお伺いします。よろしいでしょうか?」
「はい、何でしょう?」と素直に答えたものだから、完全に正体をばらしてしまい、その隣のマスクマンまで
「このトンパチ!返事する奴があるか!」と、やはりその声で誰もに長州であることが明白となったところ、直吉老人が
「ほっ、ほっ、ほっ。よい、よい。いずれ近々わかることじゃ。それにビデオに登場させてしもうたのは、儂のうっかりじゃったわい。この者たちは大和の所在地を公にするまで正体を明かさない予定じゃった。万一その前に逮捕されでもすれば気の毒じゃからのう。まあ前田、長州の両氏に何でも聞いてやっておくれ」
「ではあらためて前田さんにお伺いします。まず直吉老人のいう大和は本当に存在するのでしょうか。そして実際に三千人が住み、第二次産業を中心とした国造りが行われているのでしょうか」
「全部本当です。爺さん(前田は直吉老人を爺さんと呼んだ)はまったく嘘をついていません。ビデオのとおり、私も子供達に運動や格闘技、それと人生論を教えています」
前田は少しも臆することなくそう答えた。
「今度は長州さんにお伺いします。いつ頃から大和にてお住まいですか?大和にお住まいであるということは、『日本を捨てる』のと同じだと思います。もうその決心はついたのでしょうか?」
「まだ出稼ぎの段階ですが、近いうちに移住しようと思っていました。正体がばれたのでもう(日本に)引き返すこともないでしょう。『日本を捨てる』っていうのはちょっと違いますね。『日本を残したい』から大和を選んだんです」
ここでまた長州へ質問が続く。
「正直申しまして、私どもはまだ大和を疑っております。さらに『日本からの分離独立』など夢物語にしか聞こえないのです。この独立が失敗すれば、当然長州さんらも騒乱罪で逮捕されることになるでしょう。その辺の覚悟はおありですか」
「覚悟って言われてもね……。失敗するかどうかは、やってみなくちゃわからんでしょう。勝算がなければ勝負はするもんじゃない。勝算がなければ、爺さん(長州も直吉老人を爺さんと呼んだ)も事を起こさんでしょう」
前田に続きまたもや長州の堂々たる答えっぷりに、意地悪く人を蔑んだような声で「本当ですかー?」と訊ねる至極無礼なマスコミに対し
「当たり前だろう!何回も言わせんな!」
長州の怒鳴り声が村役場前公園そして日本全国お茶の間に響いた。さすがにプロレスラーが怒鳴ると迫力がある。聴衆、シーンとしたろころで、再度直吉老人。
「ほっ、ほっ、ほっ。前田も長州も感情的になってはいかん。堂々としておれ。マスコミの皆さんが質問できんではないか。マスコミの皆さんは『第二次産業が中心しかも現在進行形で行われている』というのもひっかかるのじゃろう。そのことも後日大和の所在地とともに明らかになる。今暫くお待ち頂こう。それでは次じゃ」
と言って、また大掲示板の項目を解説し始めた。

以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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