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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part2 大和、分離独立を宣言する〜その7 (2005.8.30)

第四項 初期入植者には一律支度金が至急される。支度金の額は未定であるが、個々の事情に応じ数万ドル単位で至急する予定である。

これには全員が驚き、思わず「おおっー」と感嘆の声を上げた。数万ドルといえば日本円で数百万円である。これを初期入植者全員に差し上げるというのだ。

「儂らの計画では、最終的に大和は十万人の都市国家にするつもりでおる。そのうち初期入植者を七千名、およそ四千世帯募集する。既に三千名いるので一万人からの出発じゃ。仮住居はほとんどできておるでな。仕事は腐るほどあるわい。学校もある。ビデオで見たろう。金は貸してやるぞ。大和国立銀行はすべて与信システムじゃ。担保なんかのうても、誠実・やる気・アイデア・計画性の四つがあればいくらでも金を貸してやるぞい。貸し渋りで倒産の憂き目にあった者、ほんの少しローン支払いが遅れただけで家を競売された者、まだまだ十分に働ける実力がありながらリストラされ絶望している者、みんな大和へいらっしゃい。諸手を挙げて歓迎するぞ!」

第五項 入植者条件
一、誠実で勤勉である。
二、大和の国家理念に賛成である。

「誰でも受け入れることはせん。以上が入植者条件じゃ。まだまだ細かい規定はあるけれども、それは後程あらためて告知させてもらうわい。それからのう。入植申し込み開始は一週間後じゃ、それまでの申し込みは一切受け付けんよ。逆にそれまで申し込んだ奴は今後一切入植を受け付けんから、そのつもりで」

以上たった五項であったが、大村直吉老人は自信を持って堂々と語った。直吉老人の前にいる聴衆、唖然として声が出ない。

「今日はほんの前触れじゃ。敵さんもそうすんなりと独立させてくれんじゃろうからな。一週間後再度詳細をお伝えする。日本の政治家諸君よ、勇気ある者はこの大室直吉と討論せよ。ただしテレビ対談じゃ。儂はのこのこ出かけて行かんよ。逮捕でもされたらすべてパーじゃからな。これから儂は大和暫定政府本部にてお前さんらの動向を窺う。テレビカメラはセット済み、対談希望者は大和友好都市小笠原父島の村役場を通して連絡をくれい。既に村長とは打ち合わせ済みである。なお妾島は既に裳抜けの殻じゃ。踏み込んでも無駄、また大和を見つけようとしても無駄。一週間後を楽しみに。とは言っても、やっぱり探すんじゃろうがのう。ほっ、ほっ、ほっ」

突然聴衆の遥か後方から、小笠原全土に響き渡るような大爆音が轟いた。全聴衆は一瞬「もう日本政府が現れて大室直吉老人を逮捕しに来たか」と思った。テレビカメラも一斉にそちらの映像を捕らえた。が、次々と起こる大爆音が花火であるとわかるのには、そう時間がかからない。全聴衆が大室直吉老人を振り返ったとき、そこにはもう直吉老人、そして正体ばればれマスクマン二人の姿はなかった。全員狐狸に化かされているようだった。

「こ、これは、クーデターだ」
官邸の一室で、福田マスオ官房長官が叫んだ。いつもは妙に落ち着いてぼそぼそ喋る男が、慌てふためき異常に甲高いひっくり返った声で叫んだ。
山崎「すぐ逮捕に向かうべきだ。小笠原には警察署もある」
最中「そんなことは向こうも計算済みだ。小笠原の警官も取り込まれているかもしれん」
青木「国家騒乱罪の適用、いや場合によっては破防法を適用する。これはオームどころの騒ぎではない」
森田「一般国民は動揺していますよ。きっと、我々ほどにはないにしろ……」
佳麗「他人事のように言うな!君は総理ではないか」
最中 「今すぐ自衛隊を緊急出動し、全小笠原を緊急封鎖する。小笠原への一般渡航は当面禁止。それでも渡ろうする奴は全員逮捕せよ。国民にはそう触れを出せ」
鈴木「こんな爺、一捻りしてやる!」
稼盗「あんたが一捻りできるのは小物役人だけじゃないか」
鈴木「何を!こ、この疑惑男が!」
稼盗「それはあんたの方だろう」
最中「やめんか!馬鹿どもめ」
最中の一言に全員沈黙、しばらくして森与太郎が
「そんなに小笠原のうどんはうまいっていうのか!」
少し怒気を含んでいたが、やはり意味不明で能天気な台詞。今度は一同まったく無視。最中がまとめて――
「まず敵の本陣を発見せよ。ひょっとしたら法螺かもしれん。それに大室直吉なる老人の正体もな。あれだけのことを画策する奴だ。ただのくたばり損いとは思えん」

一般国民も驚いた。
「まさかなあ、ここまでやるとは」
「俺も入植を考えてみるか」
「でもひょっとしたら法螺かもな」
「来週のお楽しみってことにしとこうぜ」
と、その週はどこへ行っても大和独立の話題のみ、新聞も大和、テレビも大和、ラジオも大和、与党糾弾の話なんてぶっ飛んだ。それどころか国家の根幹がぶっ飛びそうな大事件なのである。


以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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