 |

ジェイピープルはインドネシアジャカルタ発のインターネットマガジンです(日曜日を除く毎日更新)。
|

|
| Part3 日本政府、大和探索を開始する〜その7 (2005.9.7) |
(福田官房長官)
「それでは質疑応答を開始します。質問のある方、挙手を願います」
(記者その一)
「仮に大和が実在し、三千人の人々が分離独立を主張、政府の考えを受け入れない場合、どういった処置をお取りになるのでしょうか」
(森田首相)
「勿論話し合いの場を設け、翻意するよう努めます。ただし期限を決め、あくまでも政府の意向に従わない場合、全独立分子を逮捕致します」
(記者その二)
「国家を標榜するぐらいですから、大和には小規模な軍隊あるいは全住民が武器を所有している可能性もあると考えられます。万一武力により抵抗する場合、政府はどのような対策を講じるのでしょうか」
(森田首相)
「万一そういう非常事態に陥った場合、自衛隊全軍を動員しても独立反乱分子を一掃します。」
(記者その三)
「ということは最悪の場合、分離独立運動を展開している全大和住民を虐殺する可能性もあるわけですね」
(森田首相、ちょっとムッとして)
「虐殺という言い方はおかしいでしょう。彼らは国家に逆らう逆賊です。放っておけば第二、第三の反乱分子が登場する。そうなると国家の存在すら危うくなります。分離独立の理由がいい加減だ。日本国が彼らを虐待してきた事実がありますか。あるいは日本国が彼らの国を侵略した歴史事実がありますか。そうなれば話はまったく別だ。ところがこの分離独立運動は、彼らの、いや大室直吉なる者の我侭でしかない。住んでいる国が気に入らないのなら、他の国へ移住でもすればいいんです。日本国籍を放棄する手続きも簡単だ。日本国はそこまで国民に自由を与えているんです」
そこへ慌しく伝令に駆けつけた職員、森田の脇に控える福田官房長官に一枚のレポート用紙を手渡す。さっと目を通した官房長官、思わず森田に声をかけた。
「森田総理、質疑応答の途中申し訳ありません。緊急報告があります。大室直吉の正体がわかりました」
記者クラブにあふれんばかりの報道陣、官房長官の一声に思わずみな身構える。
「大室直吉は偽名でございます。本名は小村直次郎、戦前は東京大学法学部で教鞭をとっておりましたが、国家反逆罪により逮捕されるも収容所から脱走し、終戦後は行方不明者と扱われ消息を絶っておりました」
小村直次郎――明治三十四年(一九〇一年)東京で生まれる。明治期に関税自主権の完全回復を成功させた小村寿太郎外務大臣の落し胤。東大大学院政治研究科修了。のちアメリカへ留学、ハーバード大やMITなどで社会学・心理学・理論経済学・国際政治学を学ぶ。国際法の権威でもあり、帰国後は東大法学部にて講師。在職中に「太平洋戦争突入は愚挙」と学生に講義し軍部を痛烈批判、逮捕されるも脱走し、終戦後は行方不明者として消息を絶っていた。
「――という訳でございます。以上」
|
以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。
※タイトルをクリックすると初回から読めます。
|
|
|
※このサイトに掲載されている内容(データ)は ジェイビープルが所有するものであり、無断転載、転用及び無断複製は一切禁止します。
※リンクはフリーです。Copyright(c)2004-2005 JPEOPLE |