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| Part3 日本政府、大和探索を開始する〜その8 (2005.9.8) |
「ただ者ではない」と最中はつい先日言ったばかりであった。本当にただ者ではなかった。よりによって国際法の権威とは……。
古くから直吉老人を知る小笠原住民達は
「やっぱりなあ。偉い学者さんやったなあ」
お茶の間の一般庶民は
「都知事とも五分以上に渡り合うはずだ」
気の早い連中は
「俺も大和へ移住するぞ!」
さて官邸の記者会見室――
「おお」と驚きの声を発する者。「いやいや参ったなあ」と感心する者。「ふむふむ」と冷静に状況判断しようとする者。そしてたった一人、この場をどうすればよいかと当惑する森田。
そこへまた新たにさらに慌しく伝令に駆けつけた職員、福田官房長官に再度耳打ちした。その場の報道陣全員が、ただ事そうでない官房長官の慌てぶり、いや狼狽ぶりに注目、森田も官房長官に向き直り、はやくこの場を何とか取り繕ってくれと言わんばかり。
(福田官房長官と伝令の職員、ともに小声で)
「構わん、無視しろ」
「もうマスコミにも伝わっていると思います」
「まだ、まずい」
そんなやり取りの間、記者クラブに詰め込んだ報道陣各氏に携帯の電話が続々と鳴り響いた。その内容とは――
「大室直吉老人より連絡あり。今すぐに総理とのテレビ対談を希望。大和暫定政府にて待機中。大室老人は次のように語る『もし日本政府が対談の申し出を断るなら、日本全土に政府非難・反政府活動が巻き起こるであろう』」
さあ慌てたのは記者会見室にいる森田総理、福田官房長官だけではない。一番慌てたのは森田の後ろにいる最中であった。ここで対談を承諾しては大室いや小村の術中に陥る危険性がある、かといって拒否すれば「日本政府は逃げ腰」と思われても敵わない。
「森田総理、聞こえるか?毅然とした態度を取れ。テレビカメラの前だ。日本中が見ておるのだ。動揺しているのを気付かれてはならん。すぐに小津武を呼ぶ。報道陣には一時間後対談するように言え」
(報道陣のひとりが質問)
「森田総理、大室老人いや小村直次郎氏とは対談なさるおつもりですか」
「小村直次郎はあくまでも容疑者です。出自や経歴が明らかになったといって、態度を軟化することはありません。彼に分離独立を正当化できる理由はこれっぽっちもない。たとえ国際法の権威であったとしても、日本政府は一切彼の論理に耳を貸すことはありません。ただしここで彼の対談申し入れを拒否すれば、国民の皆さんが日本政府に不信感を抱くことにもなり兼ねません。今すぐ対談承諾の意向を向こうに伝えます。向こうにも準備がありましょう。対談はいまから一時間後、再びこの記者会見室で行います」
最中自民党幹事長(既に日本政府の黒幕といってよい)のもと、小津武元内閣法制局長が、国際法研究を専門とするエリート官僚チームを緊急編成。過去分離独立を果たした事例、未遂に終わった事例、現在分離独立が進行中である事例等の資料を集めるだけ集め、大室直吉老人いや小村直次郎との対談に備えた。
「いかに国際法の権威であれ、それはもう五十年以上前の話。ここにいるエリート官僚の精鋭達を論破できるとは考えられん。どんな法律、とんな判例を持ち出そうと、必ずや大和分離独立の法的根拠を徹底的にぶっ潰してやる」
と意気込む、別室の最中。
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以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。
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