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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part4 日本政府、大和と対話する。〜その2(2005.9.14)

続けて最中、
「この独立運動、何としても阻止せねばならん。長引く不況いや恐慌、そして一向進まぬ行政改革、政治改革、既に一般庶民の憤りは限界点に達しておる。いつ爆発しても不思議ではない。現に大正デモクラシー以来の市民運動盛り上がりはその前兆だ。ただでさえ日本はやっかいな状態になっている。それをさらに反乱軍による分離独立騒動。大和が日本全土を焚き付ければどうなるか。地方の分離独立どころでは済まない。日本全土で暴動が勃発しますぞ。大和は日本にとってかつての共産主義以上の悪夢です」
そこに口を挟んだのが追志位勝男共産党委員長、
「それは私達のことを言っているんでしょうか?かつては革命を標榜した時代もありましたが、御承知の通り今は社会的弱者救済・平和国家建設を基本政策とする平和政党に転換しております」
「あなた方がかつての共産党でないことは誰でも知っている。だからこの場に呼ばれておるんでしょう。わかっとらんな、まったく。ぶつぶつぶつ……」
といまにも唾を吐きそうな小沢。
「そうしなければ、いつまでも除け者政党ですからなあ。共産党は潰れておったかもしれん」
と言うのは神主他家法公明党代表。公明党と共産党、共産党が激しく政教分離を謳っているものだから、この二党は特に仲が悪い。ある地方選挙では互いの陣営を中傷し暴露合戦、あまりのレベルの低さに、選挙民が呆れ果て、選挙を完全にボイコットする始末――。
「まあまあ、皆さん、ここは国会ではない。罵り合い、おっと討論はこの騒ぎが収まってからで十分でしょう。いまは『大和問題をどうするか』を検討しようではありませんか」
取り敢えず場を繕った最中、さすがというべきか。今度は土井たき子社民党代表が
「明日正午二度目の初期入植者募集要項を発表するとあの老人は言っておりましたが、政府はそれを黙認されるおつもりですか、最中幹事長?」
「ここで放送局に圧力をかければ、おそらく国民は政府を詰るでしょう。それが彼奴らの狙いだ。それよりも彼奴らの出方を覗い、善後策を講じる方がよい。まだ全容はまったく掴めておらんのです。ひょっとしたら明日の放送で大和反乱軍の尻尾を掴むヒントが隠されているとも限らない。そこで私は皆さんに次のことを提案したいのです――」
最中の提案とはこうであった。

「明日の放送で大室直吉老人は、美辞麗句・大言壮語を並べ、言葉巧みに国民を煽り、大和独立容認の世論を作り上げるだろう。ここにいる政党代表者は各本部にて一斉に大和の正体は軍国主義復活を唱える極右翼団体であると吹聴・喧伝する。そして世論を大和非難・嫌悪に向かわせ、『大和反乱軍討伐已む無し』ともっていく。新聞各社には既に圧力をかけた。当然明日の第一面は、どの新聞も大和に懐疑的な意見が載るはずだ。二、三日中に大和の全貌は明らかになると大室直吉は語った。それが本当なら即日にでも軍事行動できるような態勢を作り上げておくことだ――」

「そのまま雪崩れ式に自衛隊軍事行動を合法化しようとしていません?」と土井たき子。
「おたきさん、私がハト派なのは御存知でしょう。これは、有事立法とはまったく次元の違う話だ。大和を認めれば日本は滅びる」
土井たき子、目線を斜め上にして、しばらく考え込んでから――
「わかりました。社民党はその線でいきます。ただし党本部で大和を非難するのは、私が大室直吉老人と対談してから、ということにして頂いて宜しいでしょうか」
「それは一向に構わんが、あの爺さんは強敵だぞ。おたきさんの得意な話し合いには応じんと思うよ」
「私も対談してみたいのですが」と追志位勝男共産党委員長。
「どうぞ御自由に。ただし全政党一斉に大和を非難し糾弾する作戦には同意してくれるんでしょうな?」
 一同他政党の動向を窺っている様子。その中から小沢が
「いまのところ、それしか方法はないようだ。どうですか、皆さんは?」
各政党代表者諸氏、百パーセント納得しての同意は致し兼ねるが、かといって代替案も浮かばない。ほぼ異存はないようで、深夜の緊急会議は終了した。

 全員が帰った後で、ポツンと残った森田と最中。森田がふぅーと一呼吸して
「最中さん、国会では言い争いばかりしている癖に、みんな協力的じゃないですか」
「表向きはな。腹では『政権奪回のために大和をどう利用してやろうか』と考えておる奴ばかりだよ。そうでなければ党を纏めるなんかできっこない。普段はよく喋る、あの甘納豆は終始黙っていただろう。大和を利用したくて仕方ないのさ」
「しかし全党が一致協力するなんて、戦後初めてじゃないですか」
「俺が言うのも何だが、情けない話よな。こんなことでもなけりゃあ、なにひとつ纏まらん国だからなあ」
「おたきさん、上手くやるでしょうかねえ?」
「あの大室直吉は化け物だよ。これは私の予想だがね。下手するとおたきさん……、潰されるぞ」

以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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