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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part4 日本政府、大和と対話する。〜その4(2005.9.16)

「……そうですか……(ため息まじりに相槌)。私もね。本当に不思議だったんです。あれだけお米やODA差し上げておきながら、なんで攫っていった人達返してくれないんだろうって、返してくれないのに、何であげるんだろうって。それで政治家の人達、人道支援と拉致問題は別の問題って言うの、どこかおかしいですよねえ」
「そう、それが普通の感覚じゃよ。ところがのう、あれこれ理屈つけて何にもしよらん。儂ら大和は違いますぞ。国民が一人でも理不尽な攫われ方されようもんなら、国交断絶じゃ。世界中に相手国の非を訴え、それでも返さん場合には、武力を持ってしてでも取り返しに行くわい」
「うわあ、頼もしいですねえ。武力で責めますか……。ところで今朝のどの新聞にも一面に『大和は大日本帝国復活を狙う軍事国家である可能性』と書かれていましたが、実際のところ、どうなんでしょう?」
「どうせ記者クラブで吹き込まれよったか、政府の圧力がかかってそう書いたんじゃろう。情けないのう、新聞も。儂のとこへ電話で取材してきたときは『お説御もっとも』とか言うといて、記事では右翼右翼と書きよるんじゃからなあ。まあ、ええ。大和を嫌いな御仁にはそう思うてもろうて構わんよ」
「今のところ、大和住民は三千人程とお伺いしてますけど、そのうち軍人さんは何人ぐらい、いらっしゃるんですか?」
「実はそこが大和の弱点でなあ。まだ軍人は一人もおらんのじゃ。いま攻め込まれたらイチコロじゃから、所在地は伏せておるのよ。もっとも作戦は練っておるがな。それは三日後のお楽しみですわい。ほっ、ほっ、ほっ」
「具体的にお尋ねしていいかしら?と言うのはね。お会いした大和住民の皆さん、本当に幸せそうにしていらっしゃるでしょう、子供からお年寄りまで。何故なんだろうって……」
「爺さん婆さんが安心して余生を送れる仕組みができておるんよ。医療費はすべて無料、電気・ガス代は驚くほど安い。水道代はもちろん無料。介護システムも完璧じゃわい。年金から介護保険料を天引きするようなケチな真似はせん。身体が不自由になっても何にも困らんよ。元気なうちは仕事を頼むよってなあ。亀の甲より年の功――。幾つになろうとも爺さん婆さん、溌剌としておるぞ。大和はのう、誰にとっても『生き甲斐の持てる』国なんじゃ」
「でも医療費が無料となると病院はいつでも超満員になりません?」
「大和はどの家にも最低一台はパソコンを設置しておる。しかもそれが全部オンラインされておるでな。二十四時間いつでも、ネットを通して国立病院の医療スタッフに相談できるわい。風邪ぐらいで病院に来ることはない。必要な薬はわざわざ病院に取りに来んでも宅配してやる。それも当然無料じゃよ。どうしても医者の見立てが必要な患者だけ病院に来ればいいんじゃ」
「うわー、すごく便利なシステムですねえ。日本で、そんなことできないのかしら」
「これは国が行うべきもんではないのう。まあ大きくても町レベルまでじゃろう。市町村に独自の行政権を与えれば可能かもわからんが、まあ今の日本では無理じゃろうな。イギリスではつい最近まで医療は無料じゃった。ところが今はそれも破綻してきておる。無料の公立病院は常に満杯、手術は数カ月待ちの状態。急病人は結局私立病院へ行き、私費を払って治療を受ける。貧しいものは救われん。イギリスでさえそうなんじゃからのう。まして日本では考えられんわい。大和のような小さな先進国だからこそ可能なんじゃよ」
「でもお爺さんやお婆さん、パソコンが使えるかしら。実は私もそういうの、すっごく苦手なんです」
「誰でも使えるようなシステムにしておるよ。それに年齢別・レベル別パソコン教室も随時無料講習しておるでな」
以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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