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| Part4 日本政府、大和と対話する。〜その5(2005.9.17) |
「無料なのが随分多いですねえ。やっぱり二千億ドルも財源があるとそうできるんですか?」
「いや二千億ドルはあくまで国家建設の蓄えじゃよ。そんなに気前のいいことしておったら数年で破産するわい。大和の税金は高いぞ。残念ながら日本のように○○控除いうて税金が免除される仕組みにはなっておらん。保険料も年金も任意ではなく強制じゃ。消費税は二十パーセントもらうつもりでおる。低所得者も所得税を払ってもらうよ。所得税率は低所得者が十パーセント、中所得者は二十パーセント、高所得者は三十パーセントじゃ。まあ高い言うても、金持ちから金をむしり取るような仕組みには、なっておらんでな」
「はあ、なんか……、それ聞いてたら、暗くなっちゃいそう。ホ、ホ、ホ」
「まあ移住希望者ががっかりせんよう言うておくわ。大和の学制は五歳から一七歳まで幼・中・小・高の一貫教育。日本でいうと大学付属でない私立一貫校というところじゃのう。学費は全額無料じゃ。それに子供一人につき毎年補助金が出るぞ。一年間の文具代や書籍代それに生活必需品ぐらい軽く賄えるくらいのな」
「学習塾とかお稽古事とかも結構お金が掛かるんじゃありません?」
「学習塾やそろばん教室あるいはピアノ教室など、情操教育・知的教育等を行う私企業には国が補助金を出しておる。日本よりは遥かに安い月謝で通わせられるわい。それにのう、勉強嫌いな奴に無理矢理塾通いさせる必要もあるまい。塾に行かせずとも十分な基礎学力はつきよる、大和国立学校ではな」
「大和のプロモーションビデオで見たんですけど、子供さん達、ほんと楽しそうに授業を受けてましたわねえ」
「先生が全員プロじゃからなあ。あの先生方、元々は日本の学習塾で勤めておった方々じゃよ。子供が少なくなり、長引く不況で、学習塾もすっかり冬の時代になっておるでのう。人材はすぐに見つかるわい」
「はあー、そうですか……(感心している様子)。ふーん……。で、十七歳で学校を修了した後はどうするんですか?やはり皆さん大和国立大学へ入学するために受験勉強されるんですか?」
「十七歳から二十歳までの三年間はモラトリアムの期間でな。何をしてもよい。留学したければしてもよい。海外を放浪したければそれもよい。自分を見つめる時間じゃ。将来何をしたいのか、将来何になりたいのか。働きたければそれも構わん。仕事はいくらでもある。ただし二十歳未満の未成年者はアルバイトしかできん事になっておるがの。二十一歳からは私企業に勤めることも公務員になることも好きに選択できるぞ。実は大和には大学はありゃあせん。その代わりに国立の研究所がある。学校を卒業後も、そのまま大和で学問を続けたいのであれば、二十歳までこの研究所で勉強することも可能じゃ。二十一歳を過ぎればそのまま研究所勤めの国家公務員になることもできるわい。ちなみにこの研究所内には文化省、国防省、教育省、エネルギー省、財務省など大和のすべてがある。大学と研究機関と役所を合わせたものが大和国立研究所なんじゃ」
「優秀な科学者の方々や、私もよく存じ上げてる芸能人の方々も、たくさん集まっていらっしゃいますねえ。勿論皆さん大和に共感しておいでなんでしょうけれど……」
「そういうことじゃよ。ここに集う科学者や有名人は、各分野においてみな一流、秀でておる者ばかり。そんな彼らだからこそ、大和の志に共感できるのじゃ。それだけではない。特に科学者にとって大和は『最高の実験開発室』じゃわい。研究費は全部大和が負担するよってな。研究費稼ぎのため(学者は)しとうもない講義をする必要はない。大和が用意する研究開発費の予算も日本なんぞ比べ物にならん。学者の本懐は、名を売ることではなく、飽くなき真理の追及よ。学者は探求心の塊じゃからな。好きなことをするには金がかかる。大和ではいくらでも金を用意してやるぞい」
「そうですか……。ふーん。……。で、また違うことをお聞きするんですけど。ホ、ホ、ホ、すいません、話が飛んじゃって。こんどは物価についてお尋ねします。日本はいま夫婦共働きでないとやっていけない時代ですが、大和はどうなんでしょう?物価は高いんでしょうか?それとも安いんでしょうか?もちろん安いと思いますけど、ホ、ホ、ホ、ホ、ホ」
「エネルギー資源も食料も、大和は二百パーセント以上自己調達でしてな。いわば自給自足じゃよって、物価が安いのは道理よ。別に共稼ぎいや共働きせんでも十分食うていけるよ。ただ専業主婦が苦手の女子もようけおるわい。夫婦で多いに稼いで貰えばよろしい。老後のための蓄えは不要じゃよ。海外で豪遊したいのであれば別じゃがの。ああ、そうそう、大和では専業主婦には毎月補助金が付くでな。専業主婦も立派な仕事じゃ、額はそんなに大きいないが、毎年リッチな海外旅行できるぐらいの分は貯まるぞ。税金・保険料・年金などが所得に占める割合は日本より高い。じゃがのう、大和は『人間らしい快適な生活を営むことのできる』世界最高の暮らしやすさを保障するぞい」
「主婦でもお給料貰えるんですか!へえー(またまた感心している様子)」
「ただしな、社会福祉の進んだ国は、総じて国民が働かんようになる。何もせんでも最低の保障はあるからのう。だから大和は、まじめに働かん奴には冷たいぞ。それと法律は厳しい。銃や麻薬所持および持ち込みは死刑もしくは終身刑じゃ。金が絡む犯罪も重罪じゃ。脱税や贈収賄は実刑とする。執行猶予など一切付けん。未成年であっても凶悪犯罪に関しては容赦せんからな。それと十七歳までテレビゲームは禁止する。ポルノもな。コンビニで簡単にエロ本が手に入る国なんておかしいと思わんかえ?」
「ホ、ホ、ホ、ホ、ホ。やっぱりそんなに世の中甘くないですねえ」
「ポルノはこそっと見るから奥床しいんじゃ。あれだけ大っぴらに解禁しよれば、変態・色魔も増えよる。性不能者も続出しよるわい」
「ほんとにねえ……」
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