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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part4 日本政府、大和と対話する。〜その7(2005.9.20)

同日夜、土井たき子社民党代表そして追志位勝男共産党委員長と大和大村直吉老人の対談は、双方合意のもと、夜七時から全国一斉にテレビ中継されることが決定した。テレビカメラは社民党本部、共産党本部に配置され、大和暫定政府基地とを中継で結ぶ。まずは土井たき子社民党代表と大村直吉老人の対談から――

「はじめまして、大室直吉先生。戦前での御活躍、特に軍部に対して、太平洋戦争突入の愚挙を批判し、多くの学生達を啓蒙した勇気、そして日本を愛する魂を、我が社民党は心より尊敬致します。今日はぜひ大室先生の御高説を拝聴したく、そして願えれば若干の質問もお許し願いたく、この場を設けさせて頂きました」
「御丁寧な御挨拶、痛み入ります。しかし先生とは大仰じゃな。儂は日本政府から犯罪者扱いされておる身、爺で結構。何でも質問して下され」
「では、直吉お爺さんと呼ばせて頂きます。まず直吉お爺さんにお尋ねしたいことがあります。宜しいですか?」
「はい、何なりと」
「我が社民党は、戦後一貫して『過去の植民地支配と侵略戦争』の反省と謝罪をし、日本が二度と軍事大国への道を歩まないことを、アジア諸国および全世界の人びとに約束して参りました。そして日米同盟関係を維持しつつ、アジア・太平洋地域の信頼醸成づくりに取り組み、相互依存による『アジアの連帯』を目指しております」
「お前さん、社民党の宣伝に来たんかえ?」
「おっほん。(直吉老人を無視して続ける)我が党の働きで、十数年前の湾岸戦争では日本国憲法第九条に基づき、他国の戦争に参加することなきよう、自衛隊の後方支援のみを認め、海外での武力不行使を徹底させました。我が社民党は経済的・技術的支援、文化的・人道的援助などの非軍事面においては惜しみなく国連平和維持活動に参加することを宣誓しております」
「で、質問はどうなったんかいな?」
「然るに(怒気を込めて。直吉老人を再度無視)、大和はアジアの平和を乱し、新たなアジアの脅威として軍事国家を作り上げようとしている。この近代において徴兵制などもってのほか。民の命を顧みず、己の理想国家を作り上げようとする、その傲慢。分離独立だけを主張するならまだしも、徴兵制による軍事国家建設を謳うなど言語道断。反論あるならお答え頂きたい」
「相変わらず滅茶苦茶な論理よのう。独立において国家理念や国家運営について言及するのは当然のこと。理想だけを説いても、それを実行する具体案がないと、誰もついて来んようになるわい。社民党のようにな」
「それは訂正頂きたい。訂正頂けないならば、いつ我が党が具体案を示さず理想だけを説いたか教えて頂きましょう」
「さっきあんたが言うたではないか。『日米同盟関係を維持する』そして『経済的・技術的支援、文化的・人道的援助において国連平和維持活動に参加する』とな。『日米関係を維持し国連平和維持活動に参加する』のは、間違いなくアメリカの行う戦争に参加するということじゃ。前線に参加せずとも、技術支援・後方支援で協力すれば、相手国にとっては同じ事。試合中のボクサーにマッサージをしてやれば、対戦相手はあんたも敵と思うわい。技術支援なら構わんのかい、あの湾岸戦争で最も大きな役割を果たしたのが日本のテクノロジーぞ。何千何万の人を殺したのが日本のテクノロジーぞ。一切戦争には参加せず、国連平和維持運動には参加すると言う。そんな都合のええ方法なんぞあるかいっ。あるなら提示してみよ。儂はそのことを言いよるんじゃ。それができんから人がついて来んと言うんじゃ」
「あなたは話をすげ替えようとなされている。私がお尋ねしたいのは『大和はアジアの平和を乱し、新たなアジアの脅威として軍事国家を作り上げようとしている』事実です。それに関してお答え頂きたい!」
「すげ替えなんぞしておらんがな。あんたが教えてくれ言うたから教えたまでじゃ。勝手な御仁よのう。まあ、ええわい。ところで大和がいつアジアの脅威になったんかいのう?まだ独立もしておらんぞ。それにいつ儂が大和を軍事国家にすると言うたかいな?教えてくれんかね」
「その可能性があると申し上げているのです。徴兵制を強制しているのがその証拠です」
「強制はしとらんつもりじゃ。軍事訓練が嫌なら大和を出ていけばよいだけの話よ」
「それは強制と同じ事です」
「アメリカや日本のようなバカでかい国なら軍隊志願者も集まろう。しかし大和はたったの十万人国家じゃよ。しかもまだ三千人しかおらんと言うのに。徴兵せんなら誰が国を守るんじゃい。アジアの雄シンガポールは、三百万人近い人口があるにもかかわらず、全男子に軍事訓練を義務付けしておるぞ。あんたの理屈で言えば、シンガポールも軍事国家じゃわなあ、しかも大和の三十倍じゃわい。で、あんた、儂が『民の命を顧みず、己の理想国家を作り上げる』とも言うたな。儂はなあ、民の命を守るために徴兵制を布くと言うとるんじゃ。だいたい大和は儂一人の理想国家ではないぞ。謙虚で優しく慎ましく、正義と平和を愛する日本精神を持った、高潔の士の集まりじゃ。それともあんたはアジアの脅威になるちゅう理由で大和住民を虐殺していくつもりかえ?他国の戦争には一切参加せんが、自国内の反乱軍は遠慮無く抹殺するかえ?」
「社民党はけっして人殺しなどしません。大和住人と話し合い、彼らの考え違いを諭し、無事日本へ戻れるよう説得します」
「得意の『話し合い』か。じゃが大和には、あんたの話し合いに応じる者は一人もおらんよ。どうする?それでも攻撃してこんかね?」
「何年、何十年かけても説得します!」
「これは有難い。その間攻撃してこんことがわかったら、大和は安心して国造りに励めますな。他国の信用も得よう」
「既に申し上げたように、我が党は戦後一貫して『過去の植民地支配と侵略戦争』の反省と謝罪をし、日本が二度と軍事大国への道を歩まないことを、アジア諸国および全世界の人びとに約束して参りました。その約束を果たすことこそ我が社民党の使命なのです。その日本から徴兵制を布く国家が誕生するなんて断固許しません!」
以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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