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| Part5 日本政府、多いにいらつく。〜その1(2005.9.29) |
さて大和全容発表を控えた翌日――ここ小笠原諸島父島・母島では、森田・最中らの特命を受けた公安警察官二百人が、必死の大和探索を続けていた。期限は明日正午まで。もう一刻の猶予もない。
探索は難航を極めた。全員マスコミに偽装した公安警察官は合計二百人。五人ずつ計四十組の班に分かれ、三十組が父島を、残りの十組が母島を探索していた。島民の一人一人に聞き込み、そして一人一人指名手配の写真と照合していくが、まったく手懸りが掴めない。ある者は「直吉老人を乗せた小船を昨日○○で見た」と言えばまた別のものは「いや俺はその時刻に△△で見た」とまったく見当違いの方角を指すものだから、捜査は大混乱。「直吉老人は一人ではない。多くの影武者がいる」とまことしやかに言う者まで現れて、いよいよ捜査は行き詰まった。中でも一番悲惨な目にあった者は次の話を信じた班の連中だった。小学校のすぐ側に住む、村で三番目の長老が語ったところによると――
「西の方角、村の外れにある洞窟へ行ってみなされ。昔から旅の扉があるという洞窟じゃ。その中には祠があり、その祠から別世界へ通じる抜け道があると言うぞ。一昔前は本土から来た探検者が結構訪れたものだったが、すっかりその恐怖に慄く者多く、最近は誰も近寄らんようになってしもうた」
それからその五人組の公安警察部隊、何とかその洞窟を探し当て、進入しようとしたところ、入り口に古びた立て札を発見。立て札にはこう文字が書かれている。
「これより十メートル先に旅の扉あり、ひとたびその扉を潜れば、二度とこちらへは戻ることができぬ。覚悟して潜られい」
隊員A「どうします。隊長」
隊員B「そんなの、冗談に決まってるだろう」
隊員C「怖気づいたのか、お前」
隊員D「警視総監になりたくねえのか」
隊 長「いまどき、地獄の扉などもあるまい。進むだけだ」
洞窟の中を進む五人、明かりは五人の所有する懐中電灯のみ。
隊員A「あっ、あった!旅の扉だ。ほら、その上に『旅の扉』と書いてある!」
隊員B「確かに……、隊長、開けますか?」
隊 長「開けなきゃ、前に進めんだろう」
頑丈な鋼鉄製の扉であった。古い扉でかなり重量があり、三人懸かりでやっと真ん中を抉じ開け進入することができた。全員が進入し終えたところで、さらに洞窟奥深く進行しようとしたところ、突然部隊最後尾の隊員Dが叫んだ。
隊員D「た、大変です!扉が自動的に締まりました。開きません。まったく動きません!」
隊員A「畜生!罠だったんだ!大和の罠に違いない」
隊 長「俺達に罠をしかけることもあるまい。一方通行の扉だったんだろう。慌てるな、
先に進むだけだ」
黙々と先に進む隊員達。しばらく行くとまた立て札があり――
「これより先、数々の難所あり。注意せよ。また別世界へ通じる祠には『紫のオーブ』を供える必要あり。『紫のオーブ』はこの先、いくつかの苦難を乗り越えた後、巡り会えるであろう。そしてそれは宝箱に眠っている」
隊員C「宝箱だって!」
隊員B「何が入っているんだろうなあ」
隊 長「悠長なこと言っている場合ではない。進むぞ」
さらに進む隊員達。ところが、進むに連れて何やらプーンと臭ってきた。
隊 員「何だ、この臭いは?」
急激に篭る悪臭、まるで肥溜めの匂いがする。
隊員D「げっ、臭せえ!何だ、この匂いは?!」
隊員Dが大声を張り上げると同時に、いきなり足を滑らせ、そこに落ち込んだのは隊員A――まさしくそこは肥溜めであった。
隊員A「ギャー、助けてー!隊長助けてー!」
必至で助けを乞う隊員A、まるでこの世の終わりだと言わんばかり。
隊 長「落ち着け!それぐらいで溺れ死んだりはせん!」
ほうほうの体で何とか肥溜めから脱出した隊員A。彼に手を貸すものはいない。隊員Aは最後尾に回され、全員から少し離れて歩くよう命令された。「畜生、何で俺だけ、ウウッ」隊員Aは悔しくて嗚咽している。
しばらく行くと今度は泉のある洞窟広場に到着した。まったくの暗闇ではなく、天井の岩間から日の光が差していた。泉は僅かにこぼれる日の光を受け、美しく怪しく輝いている。しばし見惚れる隊員達――
隊 長「これは見事だ。自然が作った芸術だといっていい」
隊員B「まさに、隊長の仰るとおりです」
隊員C「日本にもこんな自然がまだ残っていたのだなあ」
隊員D「記念撮影したいもんだなあ」
そこへ隊員A「本当だ!これは素晴らしい!」
折角一同、束の間の余韻に浸っているところ、ぷーんと悪臭を放つ隊員A、全員が嫌な顔をする。「お前、ここで服を着たまま行水しろ」その隊長の一言で、しばらく洞窟探検は中休みとなった。
隊員D「本当に別世界への入り口はあるんでしょうか?」
隊員B「あるもないも手懸りを掴めてないんじゃあ、行くしかしょうがないだろう」
隊 長「その通りだ。我々に考えている余裕はない」
隊員C「それにしても、あの大和の爺さん、大した奴ですねえ」
そこへ服を着たまま行水している隊員Aが「ふー、極楽、極楽」とのんきに言うものだから、全員にジロっと睨まれる。「早くあがらんか!」隊長の声。「へーい」これまたのんきな隊員A。
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以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。
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