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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part5 日本政府、多いにいらつく。〜その3(2005.10.1)

もう時間はない。おそらく公安警察も明日の正午までに所在地どころか手懸りさえ見つけることはできないだろう。その日夜八時を回った頃、森田・最中らはまた各政党代表を官邸に召集した。官邸閣議室に集まったのは鳩屋由紀夫、扇十景、小沢剛一朗、神主他家法、自民党からは森田金作、最中広宇、福田マスオ、山崎魚拓、青木美智悪。前回出席した土井たき子は病気療養中のため欠席(代理人は出席せず)。甘納豆、追志位勝男も欠席(共産党からは代理に前委員長の桑鉄造が出席)。

やはり仕切りは最中――
「皆さん、もう言わなくてもおわかりですね。非常事態です。我が日本政府はあの海賊どものお陰で、いやたった一人の老人のお陰でいまや風前のともし火となっています。大和分離独立反対八割と世論調査の結果を新聞・テレビで公表した。しかし実態は違う。反対はたったの一割、残り七割は賛成しないが気持ちはわかるという連中だ。賛成の連中一割を加えると、大和に肩入れしている国民が八割いるということだ。この数字どう思います。もし大和分離独立を認めれば、日本から大量に大和移住希望者が増える。それが適わないとすれば日本各地で同様の独立騒ぎが増えます。北海道や九州あたりが独立すると言うかもしれない。石原が東京を日本特別州にすると言うかもしれない。各地方自治体のいずれも中央に対して相当な不満を持っている。大和を叩かなければ、地方は一斉に叛旗を翻す……」
 それを受けて小沢剛一朗――
「それだけではない。大室直吉は我々政治家に引退を迫った、『年寄り連中はいらぬ』と。国民の不満解消はもはや地方分権を認めるだけでは済まなくなる。きっと我々全員の辞職を要求するでしょう」
 さらにそれを受けて鳩屋由紀夫――
「大室氏は『職務を忘れた全政治家』と言ったんだ。我々の中に私を含まないでほしい」
「(小沢、呆れ気味に)あんたも十分我々の中に入っているわい!都合のいい解釈はやめることだ。それに甘さんは欠席か。大橋を引っ張り、真危子を誘い、俺と手を組む、今度は大和に合流するか。随分忙しいことよ。『あんたとしっくりいかない』という噂は本当のようだな」
「私もその中に入っているのかしら?」と小沢に尋ねる扇十影。
「あなたは本当に人畜無害な人ですよ。よく言えば親善大使の器、悪く言えば『ただのいい人』です。大室直吉に言わせれば『不要の政治家』ということになろう」
今度は公明党の神主他家法が――
「欠席者の悪口は言いたくないが、土井さんも追志位さんもとんだ醜態を曝したもんだ。まあ土井さんは『刀折れ矢が尽き』といった感がしないでもない。しかし追志位さんのまるで大室に弟子入りするがごとく媚びへつらう姿といったら……。まあどこぞのテレビタレントに『共産党が目指す社会主義国家はどこか』と訊かれ、答えに窮し、思わず『ベトナム』と答えた委員長もいることだから……」
それを受けて桑鉄造――
「政権欲しさ、大臣の椅子欲しさに、政策を捻じ曲げてでも与党とくっ付く浅ましい政党に、そんなことは言われたくありませんなあ。しかもバックにいるのは宗教団体、『首相の靖国神社参拝が政教分離の原則に反する』とは、恥も外聞もなく、よく言えたものです」
「あの民青という組織。年端もいかぬ学生達を無理矢理『平和共産主義者』に仕立て上げ、まったく時代遅れの思想・哲学を吹き込もうとする。あれが宗教でなくてなんですか。オームとちっとも変わらん。共産党こそよく政教分離と言えたもんだ」
 いい加減、最中も頭に来て――
「やめましょう、内輪揉めはもうたくさんだ!大室はまさしくこのことを言っておるんですよ。内輪揉めして政権争い、国民を無視して政権争い、私らが揉めれば揉めるほど、彼奴の思う壺なんだ。私らが言い争いしている間、罵り合いしている間、大和は着々と明日の全容発表を準備しているんだですよ!」
 一同、シュンとする。
「そこでまた皆さんに私からの提案を聞いて頂きたいのです。小笠原に陸海空合同自衛隊を派遣し徹底探索するも大和は見つからず、さらに公安警察二百名を父島・母島に派遣するが、いまだ手懸りさえなし。おそらく明日正午の全容発表まで大和の所在地を見つけることはできますまい。そこで皆さんに提案いやお願いがあります」


以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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