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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part5 日本政府、多いにいらつく。〜その7(2005.10.7)

 さらに直吉老人続ける。
「あんたらには大和を容認してもらう。大和と日本政府は協力関係を結ぶんじゃ。そして地方が分離独立を騒ぎ立てる前に地方分権法を制定し、アメリカのような州連邦制を採用する。そして天下り機関の全廃や官僚制の大改革を実行。さらには大企業支援、銀行支援、官民の癒着、とにかく悪習とされているもの全部、有無を言わせず強制排除する。逆らう奴は刑務所に放り込めばええ。これら全部、半年でやってしまえ」
「そ、そんな……、そんな簡単に事が運ぶ訳ありません。日本は法治国家ですぞ。法の遵守、議会の承認を経ない限り、何事も決まらん。それに既得権を主張する連中が黙っているはずない!」
「だからそれを強制的にやるのではないか。一時的に絶対主義の時代に戻ればええだけの話よ」
「そんなことが断行できるはずない。ここにいる我々だって強制排除されかねない。政官民は既に一体となっている!」
「そこでじゃ。半年でそれを断行した後、あんたら『一時的に公権力を濫用し、国家を混乱させた』言うて全員議員辞職、犯罪の疑いがあると思うなら、潔う自ら司直にその審判を委ねればよいわ。そうなれば誰も独立のことなんぞ忘れよる。クーデターなんか起こらんわい。あんたらは自らの政治生命を賭して、多くの命を救うことになるんぞい。本望じゃろうが。後の政治は若い連中に任せればええ。日本の大改革・大掃除をやってくれた後じゃ。若い連中はあんたらに心から感謝しよるぞ。それにのう、あんたらは国民のヒーローにもなるぞ。たとえ逮捕されたとしても実刑は食らわんよ。世論がそんなことを許さんわ。若い連中の相談役としていつまでも大事にされるぞ。平成の英雄達として未来永劫歴史に名を刻まれるぞ。大和では最高功労者として大歓迎するぞ」
「ば、馬鹿な!戯言に過ぎん!大室先生、私達を誑かすのはやめてください!これは取引ではない。私達に辞職せよと言っているのだ。誰がそんな手にのりますか!」
「取引不成立ということか。どこまでも愚かな方々よ。どの道、あんたらは将来辞職することになるじゃろう。大和を押さえることさえできんのじゃからなあ。日本は間違いなく火の海となる。あんたらは英雄どころか国賊として百年先まで汚名を被るじゃろう。せめて命だけは助かればよいが……。万一のときは大和に亡命しなされ、命を奪うようなことはせんから。他の皆さんはどうじゃな?」
「そんなもの、全員反対に決まっている!なあ、皆さん、そうでしょう!」
そこへ口を挟んだのが扇十影――
「あのう、大室先生、本当に日本が火の海になると……お考えですか?(かなり不安げに)」
「扇さんか。あんた昔は別嬪じゃったのう、いや今でも十分別嬪さんであるが……。ワイドショーの司会をやっておるまでは、儂はあんたのファンじゃったよ。なぜ政治の世界に参られた?そんなに政治の世界、魅力あるかえ?あんたはいい人よのう。儂が日本の総理であれば、大臣なんぞにせず、欧州親善大使にでも任命しておるところじゃった。おっと、どうでもよいことばかり喋ったなあ。では質問にお答えしよう。その通りじゃ、間違いなく火の海になる。大和が独立宣言する前の状況を考えよ。大正デモクラシー以来の市民運動盛り上がり、有名人の市民運動参加、国民運動と言ってよいわのう。政治家はほとんど有効な対策を講じることなしに政権争いしているだけ、国民の不満は蓄積する一方、これらは既に臨界点ぎりぎりであると言えよう。いつ爆発してもおかしゅうない。大和騒ぎで小康状態を保っておるが、またぶり返すぞ。以前の何倍いや何十倍になってな。極右や極左の連中も暴れ出す。手のつけられん状態になるぞ」
最中が遮って――
「扇さん!騙されてはいかん!日本は平和な法治国家だ。そんな状態になるはずがなかろう!」
「でも、私……、先生の言うことも何だかわかるような気がして……」
「それでは、扇さんは議員辞職されるわけですな?」と小沢剛一朗
「そうは言ってません!」
「大室氏は我らに命題を突きつけておるのだ。大和を阻止するか、議員を辞めるかどちらかのな。そうでしょう、大室先生!」
「さすがに小沢さんは話がわかりやすい。実は、儂は自由党の党理念・政策、結構買っておるぞ。大和の理念に最も近いと言えるかもしれんなあ」
「独立宣言以来、大和の理念を拝聴しておりましたが、共鳴する部分も多く、我が同胞ではないかと思えることさえありました。無理を承知でお願いしますが、自由党とともに日本を変えていくつもりはありませんか?」
「嫌じゃな。所詮あんたの政治は小手先。『毒を食らわば皿まで』のようなやり方では何にも変わらん。離党しようが、新党を旗揚げしようが、自民の古い体質が染み込んでおるわ。やり方が姑息なんじゃ、姑息。それにのう、あんたの人相……悪すぎる」
政策や理念を批判されるならともかく、人相まで悪く言われたらたまらない。小沢はブスっとしてしまい、しばらく押し黙ってしまった。
「政治家の諸君、まだ時間はある。明日正午まで考えてくれればよい。おお、そう、一人政治家でない方が混じっておったなあ。小津武さん、小津武元内閣法制局長!」
 小津武、分を弁えてか、控え目に末席で対談の様子を窺っていたが、直吉老人の呼び出しに応え、テレビカメラをキッと睨みつけた。
以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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