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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part6 大和、全容発表する。政府、全面攻撃する。〜その3(2005.10.12)

官邸の最中――
「自衛隊全軍に告ぐ。父島・母島沖に停泊中の海上自衛隊全艦は硫黄島および南硫黄島に急行せよ!硫黄島自衛隊基地および待機中の飛行機連隊は、大和住人の襲撃に十分注意し、臨戦態勢を整えよ!」
 この命令にて『きりしま、ちょうかい、こんごう』の旧イージス艦三隻と最新イージス護衛艦一隻(艦名は未決定)、『たちかぜ、さわかぜ、むらさめ、いなずま』の標準護衛艦、四隻、輸送艦艇『おおすみ、みうら、さつま』の三隻、機雷艦艇『はちじょう、ちちじま』の二隻、潜水艦『おやしお、はるしお』の二隻が、小一時間で硫黄島を完全殲滅可能な兵器・武器・弾薬をたっぷり積んで、硫黄島および南硫黄島に急行した。
「大和は原子炉まで開発する科学力を持っている。たった三千人の反乱分子だと侮ってはいかん!ひょっとしたら核兵器を所有している可能性だってある。全隊微塵も油断するな!戦闘態勢を整えよ。海上自衛隊全艦隊は硫黄島に到着後、再び命令あるまで各艦にて待機せよ!」
 最中の指令のもと、全艦隊は出動した。後は大和の出方次第。一刻の猶予も無く一網打尽にしてやりたいが、返り討ちにあう可能性がないこともない。彼らの科学力は恐るべきもの、きっと奥の手は隠してあるはず。でなければこの大軍隊を前にあの余裕、秘密兵器のひとつやふたつ準備していない方がおかしい。

 ふたたび直吉老人――
「まあ、いろいろ準備しておる……。だがどれもこれも人手不足でなあ。『新国家を建設する』言うて偉そうにしたが、正直言うと国家の『こ』の字もできておらん。国家建設の頭脳集団は十分じゃがのう、いかんせん実働部隊が少ないわい。で、取り敢えず七千人を募集する訳じゃ。女・子供・年寄りを含めた数じゃよってに、実働は四千人ほどかのう、まずは全員国家公務員になってもらうよ。仕事は最終的に予定しておる十万人国家のための基礎作りじゃ。移住者には都市設計をやってもらう。住宅建設から始まって、役場、学校、公民館、官舎、公園、道路……、何にもできておらんからのう。よって仕事は腐るほどある。そうそう、大和は移住者だけでなく業者も募集するよってな。大和に移住せんでも仕事は十分回せるよって……

「それと、儂らは最終的な都市国家完成を十五年後と予定しておるが、国家が完成するまで、現指導者連中が国政を担当していく。期限付きの法律はもう作成しておるでな。十五年かけて大和の国体を完成させていくぞい。
「さあ、そして、ここからが本日の目玉であるぞ、よう聞けよ。いま硫黄島に三千人の住民が仮住まいをしておる。しかしここはあくまで仮住まいの里よ。ここだけでは十万人が余裕をもって住むにはちと窮屈じゃ。それでなあ、北硫黄島を開発することにした。開発するには大変な労力をようするが、大和住民の強い意志、世界屈指の科学力をもってすれば容易い事よ。それからのう、ここからはさらに大事業じゃ。大和はこの計画を実現することにより、世界最強の都市国家となる。

「よう聞けよ、硫黄島と北硫黄島の間はおよそ八十キロじゃ。儂らの計画はなあ、その間に三つの超大型浮体式海洋構造物つまり浮遊型人工島を建設する。一つは最高級ホテル、ゴルフ場、コンサートホール、競技場、そしてカジノなど、ありとあらゆる娯楽施設を擁する大リゾート島、もう一つは国際空港島じゃ。あと一つは行政府も含めた経済・金融の中心、この島は経済特別区として世界中から企業を招聘するぞ。シンガポールと同様、フリーポートじゃわい。そしてさらに硫黄島からその三つの人工島を経由し北硫黄島を結ぶ巨大大橋を建造する。それぞれの島はすべて高速道路・高速鉄道で結ばれ、最先端のコンピューター管理システムにより、効率よく円滑に都市が機能する。自然愛護団体には申し訳ないが、少々の自然破壊は許しておくれよ。人が住むところ、自然が汚されるのは自明。ただし大和は考えられ得る限り地球環境保護をテーマに開発を進めており、法律ではいまのところ電気でしか走らんような自動車しか認めておらん。スピード狂は大和への移住を止めといた方がええ。硫黄島は大和国防省および大和防衛軍基地となる予定じゃわい。

「総工費は二十兆円の大事業じゃ。我と思わん業者は応募しておくれ。大手ゼネコンの下請け諸君、仕事がのうて困っていよう。大和に来なされ。建設業者だけではないわのう。ありとあらゆる業界の方、応募をお待ちしているぞ。百万人の雇用も可能かいなあ。長引く不況で仕事にありつけん人もぜひいらっしゃい。
「それと大和国立銀行を近々に立ち上げる。利息は六パーセント以上、どこぞの国の銀行みたく金利〇パーセントなんぞ馬鹿なことはせん。それにペイオフ言うて銀行が潰れたら一千万円までしか貯金が保障されんとはお気の毒。『ペイオフなんて私には関係ない』と思うておる一般庶民の皆さんに言うておくぞ。一千万がそのうち五百万になり三百万になり百万になり、遂には一銭も引き出せん状態になればどうする。『そんな馬鹿な』と仰るなかれ、銀行の不良債権、いくらあるか御存知か?あんたらの大事な貯金、全部その穴埋めに使われるぞ。『そんなことはあり得ん』と思う方はそれでよい。でも心配な方は大和国立銀行に預けなされ。日本の銀行に預けておくよりはよっぽど安心じゃて。

「銀行・証券屋・保険屋にも言うておく。そのうち大和には世界中の金融機関が押し寄せるぞ。日本政府に遠慮し黙って指をくわえておる気かい?日本政府にいつまでも甘え、永久に国民の税金で助けてもらうつもりかい?

「おっと、小さな事じゃが、言うのを忘れておったわい。これは大和の建国理念に基づくものじゃからな、ちゃんと言うとかんとのう。大和では滅ぼうとしている日本文化を守るため、特に後継者がおらず廃れていくような伝統工業、たとえば『和紙製造』や『からくり人形作り』など、国をあげて保護・育成するぞ。どなたでも結構じゃ。遠慮のう大和に御相談下され。

「エネルギー、食料は十分あるよって、移住者は何にも心配することはいらんぞ。借金があるんであれば、こちらも遠慮のう大和に御相談下され。さてそれでは応募の方法をお知らせするか――」



以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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