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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part7  『一部の良心ネットワーク』、立ちあがる。〜その1(2005.10.15)
大和全容発表の同日夜(政府が大室直吉老人に一杯食わされ完全敗北したその夜)、政府はマスコミ各社、関係者との対応に忙殺された。特に質問攻めに合ったのは黒幕でない森田。官邸の通路、報道陣により揉みくちゃにされながら
「森田総理!日本政府は今後大和にどのような対処をお考えでしょうか?」
「ただ今より緊急集会を開き、今後の対策を検討致します。しばらくお待ち下さい」
「森田総理!自衛隊の大量脱走および大量の護衛艦や戦闘機を奪われた責任は誰が取るんでしょうか?」
「ただ今より緊急集会を開き、今後の対策を検討致します。しばらくお待ち下さい」
「森田総理!大和移住希望者が政府の意向を無視して移住する場合、やはり犯罪者として見なされるんでしょうか?」
「ただ今より緊急集会を開き、今後の対策を検討致します。しばらくお待ち下さい」
「森田総理!大和の国家建設で予定されている二十兆円の大事業に関して、参入希望者・参入希望企業が殺到すれば、その対策はどうお考えですか?一切認めないおつもりですか?」
「しばらく待ってくれって、言ってるでしょう!」

 森田は報道陣から逃げるように官邸の小会議室へ入っていった。そこにいるのは、いつもの自民党首脳メンバー、最中幹事長に福田官房長官ら。
「硫黄島とはな……『灯台下暗し』とはこのこと。自衛隊基地があるから大丈夫と油断した。考えれば、もともと小笠原に本拠を置くあの老人、硫黄島に派遣される若い自衛隊員を篭絡するのは朝飯前、もう何年も前から取り込まれていたに違いない。そして集団脱走した三千名、彼奴らもおそらく始めから大和反乱軍に与していたに違いない。しかも森さんに任せたのが間違いだった。そもそもあんな大部隊など必要なかったのだ」
 最中の言うことは当たっていた。硫黄島自衛隊基地は十数年前から、大室直吉老人の支配下にあると言ってよい。随時本土より派遣されてくる若者隊員は、元来が正義感の強い連中、大室直吉老人に鼓舞され感化され、ついには師と仰ぐようになるも当然。彼らが本土に戻ったとき、有志を募ってクーデターを画策することは十分考えられる。ここまでは最中も推理した。しかしそれだけではなかった。小笠原諸島の出身で直吉老人の影響を受けなかった若者は一人もいない。彼らは自衛隊入隊以前から既にクーデター要員であった。特に海自を選択することは容易に想像できる。さらには最初の森与太郎指揮による自衛隊大進行、あれも大和によって画策されたものだった。最中らの提案を蹴って大軍を進行させた、森与太郎防衛庁長官の勇姿。頼りないはずの森与太郎が「連合艦隊を指揮する山本五十六」と言ったのは最中であったが、あの颯爽たる森与太郎、実は大和の何者かにより操られていたのである。人心の術、いわいる催眠術によって……。

佳麗「それにしても我が政府の弱点ばかり突いてくる。二十兆円の大事業、不況に喘ぐ企業群にとってこんなに美味しい獲物はない」
山崎「六パーセントの銀行利子もな。ペイオフ制度を逆手に取られたのも痛かった」
青木「伝統工業の保護・育成も国民感情に訴えるものよ」
最中「やられた……、完敗よな(力無く言う)」
森田「そんなあ……、まだ策はあります!弱気にならないで下さい!」
福田「森田総理は、楽観主義者ですなあ」
山崎「いや森田総理の言う通りですよ。きっとまだ策はあるはずだ!」
青木「おや、山崎性情、いや政調会長。タフなのは女性にだけかと思いましたが、お元気ですなあ」
山崎「嫌味ですか、青木先生?」
青木「そんなつもりでは……。冗談でも言わねば、この気だるさどうにもならんような気がして」
佳麗がやっと建設的な意見――
佳麗「ひとつひとつの問題を検討すべきではないと思う。大和を容認するか否かでしょう」
最中「そういうことだな」
さらに最中は続けて
最中「明日、全国一斉にデモ行進させよう。ちょっとでも世論を見方につけねばどうしようもない。新聞社にも打診しておこう。『大盗賊大和』とでも書かせるか。日本政府は話し合いによる解決を大和に要望する旨もな。それにしても……。同じような作戦を繰り返すのも嫌だが、ほかに何も浮かばん……」

以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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