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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part7 『一部の良心ネットワーク』、立ちあがる。〜その5(2005.10.20)

 日本政府は初日結果に恐れ慄き、翌日には早速森田総理による非常事態宣言が行われ、大和へ期待する国民、大和へ移住を考える国民にその愚を諭し、冷静に対処するよう促した。
「国民の皆さん、日本政府は大和独立を容認した訳ではありません。従っていま提出された書類は一切無意味なものとなります。冷静に考えましょう。現在のところ大和は最悪のテロリスト集団として、全住民が指名手配されております。大和に加担する行為は犯罪です。落ち着いて日常に戻ってください。日本政府は国民の皆さんの御期待に添えるよう全力を上げて政治・経済の大改革を断行中です。日本政府を信頼して下さい!」

 しかし国民の反応は「うそつきー!」「能無しー!」「もう聞き飽きたー!」

そして二日、三日、四日と過ぎ、遂には大和移住希望者が百万人を超えた。もう一刻の猶予もならぬと最中の命令で、緊急召集された自民党首脳陣、各政党代表者、またも官邸閣議室にて。

まず開口一番、興奮して叫んだのは自由党の小沢剛一朗。
「もう手を拱き様子見している状態ではない!大和を全面攻撃すべきだ!全自衛隊二十四万人を導入し大和を完膚なきまでに叩き潰すべきだ!」
「そうすれば日本全土で政府への糾弾が始まる。おそらく抗議だけでは済まない。暴動に発展する可能性も十分に考えられる。あの老人の言った通り『日本は火の海になる』」
冷静に小沢へ対応するのは最中幹事長。
「では大和を容認されるおつもりですか?あの忌々しい爺に屈服し、あやつのいいなりに我々は総退陣するとそう仰られるか?」
「そうは、言っておらん。問題は大和を容認しても殲滅しても、その結果国民をどう納得させるかだ。今更大和の大事業は白紙と言えない。それに代わる大計画を具体的に示さねばなあ」
「大和を容認すれば、一時は騒ぎも収まるでしょう。ただししばらくの間だけ。やがては地方分権を要求し、各地で独立運動が始まる。以前シュミレーションしたとおりだ。どの道、我々の責任問題・進退問題に発展する。大和を即時殲滅し、国民には大和の事業は日本が引き継ぐことに決定したと言えばいいではありませんか」
「そう簡単にはいかない。たとえ三千人といえど、あの装備――最新鋭の防衛システムを搭載したイージス艦も含め、全八隻の護衛艦、F15J戦闘機が三十機、いずれは壊滅できようが、時間はかかる。そして大和にはそれ以上の武器がある。日本国民の世論という武器がね」
「ではどうされるおつもりか?やはり我々の全退陣がお望みで?」
「大和を懐柔しつつ、日本政府の威信をも保ち、しかも国民に不満のでない方法を見つけることが肝要だと言ってるんだ」
「そんな都合のいい方法がありますかねえ?」
「ないから、みんなに集まってもらっている。緊急会議を召集したのもそのためです」
最中、半ば投げやりな態度、どうでもしてくれと言わんばかり。そこへ口を挟んだのが森田総理――
「こんな方法はどうでしょう。大室直吉老人の良心に訴える作戦です」
「ほう、で、こんなのとは?」
森田の提言した作戦とは――
「まず私が大室直吉老人と個人対談致します。そして現在の混乱ぶり『いかに日本が危険な状態であるか』『一触即発の危機的状況にあるか』を訴えます。そして『これ以上問題が長引く場合、大和殲滅のため、および国内治安維持のため軍事行動を活発化せざるを得ない』さらに言います――『あなたが仰ったように、日本は火の海となり、多くの罪もない人々が死んでいきます。それがあなたの望むことですか。大和の十万人は平和に暮らすことができよう。しかし海の向こうで何百万人の罪無き日本人が死んでいく。あなたは大和住民が幸福ならば、他国の人間などどうなってもよいのか』と――」
「『だから忠告したではないか』と言われたら?」
「妥協の道を求めます。誠意あるのみ。この森田金作、政治生命を賭して、全身全霊大室直吉老人を説得します。大和と日本が一致協力し、我々と共に日本の再生を目指す。あの老人ならそんな智恵をお持ちではないかと」
「我ら全員に総退陣を命じたらどうする?」
「それをさせないよう話し合いするのではありませんか」

 そこへ伝令の職員――これ以上ない慌てようで、官邸閣議室に飛び込んできた。
「た、大変です!若手国会議員、無所属議員達が超党派を結成し、市民団体らとともに現職国会議員八割の総退陣を要求しました!」

以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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