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新国家「大和」、日本より分離独立を宣言する。

Part8 『一部の良心ネットワーク』、奮起する。〜その1(2005.10.25)

明け方近く自宅に戻った鈴木スネオ。今日はおそらく党本部で裏切り者の粛清のはず、その前に数時間でも眠っておきたい。まったく昨日は寿命の縮まる思いがした。やはり最中の言った通りだった。「今後一切あの化け物には近づくまい。『君子危うきに近寄らず』だ」と堅く心に誓うスネオ、そしてスーとまどろみ状態へ。
スネオは夢を見た。恐ろしい夢だった。暴徒が「盗人!」「盗賊!」「下司!」「下郎!」とスネオを追いかけてくるのである。必死に逃げ回るスネオ。逃げても逃げても追いかけてくる暴徒。やっとの思いで飛び込んだその部屋には仁王立ちの前田阿修羅、険しい形相でスネオを睨みつける。もう駄目だ!た、助けてくれー!助けてくれー!と叫んだ瞬間、スネオははっと目が覚めた。
「はー、夢で良かった」
うっすらと脂汗のスネオ、ふーっと溜息をつく。時計を見れば午前九時を回ったところ、「いかん、これは遅刻だ!」と大慌てで身繕いし、朝食も取らずに家を飛び出した。そこへいきなり報道陣のカメラがバシ、バシ、バシ、バシ。
「鈴木外務大臣、大室老人の印象はいかがでしたか!」
「鈴木外務大臣、昨日の対談内容を振り返ってひとこと!」
「鈴木外務大臣、昨日の対談内容に間違いはありませんか!」
矢継ぎ早にマイクを向ける報道陣を振り切って、迎えの乗用車に乗り込んだスネオ――
「全部あとあと、党本部に着いてから」
ちっ、もう知ってやがる。それにしてもマスコミの情報の速いこと。運転手までが
「昨日の夜はご苦労さんでしたなあ。しかし……」
何か尋ねようとした運転手を遮って
「寝不足なんだよ、少し寝かせてくれないか」

 党本部に到着したスネオ。ここでも報道陣の山、それに一般の野次馬まで普段の数倍は出没していた。そして口々に「盗人!」「盗賊!」「下司!」「下郎!」などと喚いている。
「はて?いつもより非難する連中が多いような……。まあ、気のせいだろう。非難されるのは毎度のこと。それよりもはやく挨拶にいかないと幹事長にどやされる」
 またしても報道陣を振り切り、最中幹事長の部屋へ一直線。
「鈴木スネオ、ただ今到着しました。裏切り者の粛清は進んでおりますか、幹事長!」
と、わざとらしく言う。部屋には森田総理や福田官房長官らもいた。ただ事でない雰囲気は感じ取れた。やはり内密で大室老人の元へ直談判しに行ったことを怒っているに違いない。
「昨夜はご苦労さんでしたねえ。何か収穫はございましたか?」
と嫌味を言う福田官房長官。「何を!この若造が!」と言いたかったが、その言葉は飲み込み、睨み返すだけ。
「黙って行ったのは私のミスでした。しかしあと少しで懐柔に成功するところだったのです。大室とは終始にこやかに対談しましたので、まだまだ懐柔の余地はあると思います。しかし、皆さんをお騒がせしたことはお詫び致します。余計なことをして申し訳ありませんでした!」
深深と頭を下げる鈴木、その鈴木に向かって最中が言う。
「本当に余計なことをしてくれたものよ。そうでなくても世論は『一部の良心ネットワーク』なる組織に肩入れしているものを。ますます拍車がかかったわい」
「はっ?私が対談したのはそれほどまずかったのでしょうか?」
「何にもわかっておらんようようだな、貴様。昨夜何時頃対談したか覚えているか?」
「確か、九時頃だったかと思いますが……」
「おい、昨日の夜九時、生中継で全国放送された特別番組のビデオ、この馬鹿に見せてやれ!」


以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。

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