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| Part8 『一部の良心ネットワーク』、奮起する。〜その2(2005.10.26) |
そして党本部職員が持参したビデオを、ワナワナ震えながら、食い入るように見つめるスネオ。
ビデオ:
タイトル 緊急特別対談、大和暫定政府代表大室直吉VS日本国外務大臣鈴木スネオ。
そしてテロップ〜この番組はYBC(大和国立放送協会)を通じて日本全国、全世界各国に向け完全生中継で放送されています。
大室『いやあ、よう来なさったなあ。大和へお越し頂いた外国人第一号と……』
鈴木『大室先生の御活躍、御高説、不肖この鈴木、常々感服して……』
途中ビデオを早送りするスネオ――
鈴木『俺はなあ、あいつらお偉いさん方の秘密を握っているんだよ。知られたら……』
大室『そんなもん、蛸花隆の論文や週刊誌で全部ばらされたんと……』
さらに早送りするスネオ――
鈴木『おい、おい、おい、おい、おい、爺!人が下手にでりゃあ、いい気に……』
大室『ほう、これが噂に聞く恫喝か。ヤクザ並と聞いておったが、それでは……』
そしてさらに早送りするスネオ――
元プロレスラーの前田阿修羅が登場する場面。元プロレスラーにびびったスネオの姿もしっかり映し出され
鈴木『で、大室先生、この件はですねえ。白紙に戻すというのは、今一度……』
ビデオのスイッチを切り、鈴木スネオ、大声で叫ぶ!
「わ、罠だ!こ、これは罠だ!」
「確かに罠よ。やつらの巧妙な罠よ。が、落とし穴があるとわかっていて突っ込む馬鹿が俺の側近にいるとは想像もしなかった。森田総理が必死の思いで練り上げた大室懐柔策ももはや無駄。若手議員をなんとか説諭した俺達の苦労も水の泡。もはや貴様の罪は万死に値する。世が世なら切腹ものよ!」
かくっと膝を折り項垂れるスネオ。最中がスネオに対してこんなに怒ったのは初めてだった。
「もはや済んでしまった事はどうしようもない。マスコミにはあれは罠だと押し通せ。そして昨日言ったことは全部大和を懐柔するための嘘だったと言え。わかったな!もしこれ以上余計なことをしてみろ……、俺がお前を終わらせてやる」
鈴木スネオは青ざめていた。数々の不正疑惑追及を逃れ、ようやく辿りついた外務大臣のポスト。それも風前のともし火になろうとしていた。スネオは早々と退場するよう命ぜられ、党本部をあとにした。追いかける報道陣、罵声をぶつける一般庶民。直吉老人の最後の忠告はまさしくその通りであった。
『……遠路はるばる東京から来てもろうたお礼にひとつ助言しておこう。いま日本に帰るのはやめなされ。明日から日本は揉めに揉めるじゃろうって。あんたが最も非難されるかもしれんよってなあ。大和問題が解決するまで硫黄島でゆっくりしていっても構わんよ』
党本部の幹事長室――
「鈴木さん、本当に元気なかったですねえ。あんな鈴木さん、初めて見ましたよ」と森田。
「さんざん目をかけてやった結果がこの様だ。恥ずかしいよ、俺は……」応じる最中。
「ところで最中さん、鈴木さんが言っていた一部政治家・官僚による『完全中央集権制による日本社会主義帝国』建設の陰謀って本当ですか、そんな話?」
最中、ちょっと間を置いたあと
「そんなの嘘に決まっているでしょう。映画じゃあるまいし……」
「国民はそう取らないと思うなあ。ただでさえ世論は政府に批判的だ。間違いなく『一部の良心ネットワーク』にとって、運動を盛り上げるための格好の材料となりますよ」
「わかってる、わかってる。十二分にな。ここからは森田総理に頑張ってもらわねばどうにもならない。俺達古参議員はダーティーのイメージが強すぎる。森田総理から国民に妙な噂を信じないよう訴えてもらいたい。特に『社会主義帝国建設』の陰謀など出鱈目だとな」
この陰謀説――一部政治家・官僚による『完全中央集権制による日本社会主義帝国』建設――はあまりにも信憑性があり過ぎたため、瞬く間に政府糾弾いや政府打倒の狼煙が日本全土で上がった。どの通りもデモ行進を見かけない方が珍しいほど、「日本政府打倒!」の掛け声が聞こえない街角はないほど、街中で、田舎で、観光地で、テレビで、ラジオで、インターネットで、雑誌で、新聞で、社会人が、主婦が、学生が、年寄りが、マスコミが、政府撲滅運動を展開していった。スローガンそしてシュプレヒコールは――
「日本政府断固撲滅!悪魔の陰謀・日本社会主義帝国建設を許すな!」
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