 |

ジェイピープルはインドネシアジャカルタ発のインターネットマガジンです(日曜日を除く毎日更新)。
|

|
| Part9 最後の大決戦、果たして奇跡は起こり得るか?(前)〜その7(2005.11.12) |
待ちに待った重大発表始まる。テレビ画面にはタイトルが映し出された。
タイトル〜政府緊急発表〜大和分離独立運動、『一部の良心ネットワーク』政府撲滅運動に関しての政府見解
テロップ〜NHKを通じて政府官邸記者会見室より全国生中継で放送されています。
「全国民のみなさま。日本政府代表の最中広宇でございます。この二カ月大和分離独立運動および『一部の良心ネットワーク』政府撲滅運動に関して、御迷惑をおかけ致しましたことを深く陳謝する次第でございます。我が日本政府は戦後一貫して国家国民のため豊かで平和を愛する日本を育てて参りました。バブル経済の終焉とともに不況が訪れ、国民のみなさまには労苦を強い、つい今日までなんら有効な対策を取れず、我が身の無能さをつくづく反省しておる次第でございます。さて本日はみなさまに重大なお知らせがございます。一部の国民の皆様に熱狂的に指示されている大和および『一部の良心ネットワーク』に関しての政府見解でございます。我が政府の方針は、民主主義を無視した手段で政府を覆そうなど、そんな卑怯卑劣な集団の要求に一切応ずることはせず、日本政府として断固たる態度で臨み、両団体に破防法を適用する所存でございます。明日正午国会にて正式な審議を経た上で、決議される予定でございます。国民のみなさまは、何卒御理解御了承頂けますよう、そして両団体へ近づくことのないよう、節度ある行動を取られるよう、宜しくお願い申し上げます。万一両団体へ近づくことあれば、何人たりといえども、逮捕・拘留される旨を予め御承知下さい。さらに治安維持のため今夜午前零時より明日正午まで東京都全域に『外出禁止令』を発布致します。今夜午前零時より明日正午まで民間人の外出は一切厳禁です。こちらの方も違反者は理由の如何に関わらず逮捕・拘留となります。なお両団体を鎮圧できた暁には、国民のみなさまが安心して暮らせる、『真の民主主義国家』を創生することをお約束致します」
「どうなってるんだ、これは!?潔く退陣するんじゃなかったのか!?」
叫ぶ森田、当然国民の思い・驚きも同じに違いない。
「心配で来てみたのが、やはり儂の勘は当たりよる……」
「大室先生!どういうことなんでしょう、これは?どう考えても大和と『一部の良心ネットワーク』の勝ちですよ。最中さんだって、絶対わかっているはずだ。それを何で……」
興奮する森田に、冷静な大室の対応――
「最中はな……、討死する気じゃよ」
「討死って……、討死って、どういう意味ですか?」
「あいつの肩にはな、何千何百万人の思いが、どっと圧し掛かっているのよ。確かに全国民が大和と『一部の良心ネットワーク』を支持しているように見えるがのう……。しかし実際は違う。こんな日本政府でも支持する連中がおるわい。既得権を持つ連中じゃ。たとえば官僚、たとえば大手ゼネコン、たとえば大手企業、たとえば大手銀行、たとえば農家、たとえば郵便局、たとえば政治家秘書、たとえば……と挙げれば切りがないほど、政府の援助や権限が無ければ立ち行かん連中がおるわい。奴らは日本政府に潰れてほしゅうない。政治は改革してほしい。だが己らの権益は守ってほしい。そんな虫のええ事ばかり考えておる。こんな時勢じゃから大声では言わんけど、やっぱり政府にはあんまり変わってほしゅうないんじゃ。ちょっとずつだけ変わっていってほしいんじゃ。勿論己らのところは除いてのう」
「だから一挙に改革するんじゃないですか?既得権を持つ連中だって、日本の危機的状況を知れば仕方のないことだって思うんじゃないですか?」
「ところがそう簡単にいかんのが人間でなあ。だから民主主義が生まれたんじゃろうが。誰も好き勝手なことをせんようにさせるのが民主主義じゃよ……。だからのう、最中は民主主義をよう理解しておる。最中にすがる連中の気持ちもな。ここで最中が『はいそうですか』と潔く退陣してごらん。おそらく最中にすがってきた連中がパニックを起こしよる。新政府ができたところ、誰も言うことを聞かんよ。そうなったら新政府は彼らを弾圧するか、ということは今の日本政府と同じじゃな。そうならんためにも最中は身をもって教える必要があるんじゃ。最中にすがる奴の未練を断ち切ってやるために……、もう俺達の時代は終わったとな、これからは別な道を探せとな」
「そんなあ、だからって破防法を適用するなんて!日本が内乱状態になってしまったらどうするんですか?日本が潰れでもしたら、既得権も何もあったもんじゃない!」
「だからあんたらに猶予を与えておるのじゃろう。破防法適用決議は『明日正午国会審議にて』とな。あれはあんたらに対する挑戦じゃ、阻止できるものなら阻止してみよというこっちゃ。そして最中にすがる連中への惜別じゃ。精一杯やるだけやる、だが敗れればお前らも諦めろとな。古来革命に流血はつきもの。血を見てこそ、初めて命が変わったとわかるのよ。血を見にゃあ、命が変わったと気付かんのさ、人間はな」
「私には理解できません!最中さんに会ってきます!会って直接問い質します!」
そう言うと森田、一目散に飛び出して行った。『一部の良心ネットワーク』暫定政府本部フジテレビ・スタジオの大室直吉老人、側近の赤影に――
「飛び出して行きよった。あれが若さの特権じゃなあ。あんたどう思うかね?」
「老師にとっては、羨ましくもあり、歯痒くもありといったところですかな」
「なるほど、儂は年寄りということじゃな」
「恐れ入ります」
「ほっ、ほっ、ほっ。まあ、ええわい。さあ、ここからが執念場じゃ。儂らもとっておきの手段を準備せねばならん。ここまでやらねばあかんとはのう……。さあ、あんたらにもう一働きしてもらおう。勿論儂もな。さもなければ森田に偉そう言えんわい」
|
以下明日に続く(土曜日の更新はありません)。
※タイトルをクリックすると初回から読めます。
|
|
|
※このサイトに掲載されている内容(データ)は ジェイビープルが所有するものであり、無断転載、転用及び無断複製は一切禁止します。
※リンクはフリーです。Copyright(c)2004-2005 JPEOPLE |